あしたのクァルテットについて

あしたのクァルテットは東京で活動するアマチュア弦楽四重奏団です。自主公演のほか、ノーギャラで演奏委託も承っております。

以下、2018年8月の公演「あしたのクァルテット20周年記念公演 23人の第九」プログラムより抜粋

 このたびは、「あしたのクァルテット 結成20周年記念公演 23人の第九」にお越しくださり、誠にありがとうございます。
 私たちは、東京にあるジュニアオーケストラで10歳前後より一緒に演奏してきた仲間で、1997年、4人ともに学生生活の終盤にあたるころ、シューベルトの弦楽四重奏曲「死と乙女」を演奏することを目的にグループを結成しました。第1回目の公演を結成翌年に行い、以降、年に1回のペースで自主公演を企画し演奏を続けています。
 4人はそれぞれクラシック演奏とは異なる職業につき、演奏会の企画を決めたら週末に予定を合わせ、練習するというスタイルで、クァルテットを続けてきました。学生のころにジュニアオーケストラで学んだことですが、アマチュアであることに甘んじず、演奏する曲に真剣に向き合い、しっかり準備して
演奏会本番に臨むことは、一見とても当たり前のことですが、自らを奮い立たせ、厳しく自己管理をしないと成し遂げられません。そういう意味では、4人という人数は、企画について意見を出し合ったり、スケジュールの調整や、練習のなかでの曲づくりのやりとりをするうえではちょうど良く、適度に緩やかで、それが20年続けることができた理由のひとつかもしれません。
 結成10年を迎えた時に、合唱まで含めた編成に拡大し、ベートーヴェンの「第九」を演奏しようと考え、公演を行いました。今日はその10年後の再演となります。
 「第九」と聞くと、100人超の大編成オーケストラに、それと同じくらいの規模の合唱団と、髪を振り乱しながら棒を振る指揮者という構図が想起されることでしょう。ある時、この大曲をピアノ1台で演奏している録音に触れる機会がありました。これを聴いて、クァルテットでも演奏できるかもしれ
ないと考えたのが、「23人の第九」の着想の起点でした。
 しかし、この大曲の壮大なサウンドを4本の楽器で再現するのは難しく、また、ベートーヴェンが取り入れた「歓喜に寄せて」というメッセージを、楽器だけで表現することは不可能と考えました。最終的に、少人数の合唱団を加え、指揮者のない室内楽編成で演奏するというコンセプトにしました。
 また、この編成で演奏された編曲はなく、当然出版された楽譜もありません。原曲の管楽器パートをピアノ2手で担えるように楽譜を手づくりで作成するなど、時間をかけて独自の編成で演奏するための準備を行いました。これが今日の演奏に至る経緯です。
 公演の開催にあたり、たくさんの方に支えていただきました。共演いただく器楽・声楽の方々と一緒に、ベートーヴェンの傑作に取り組む時間を共有できたことは、私たちの心の財産となり、これからの活動継続のエネルギーになることと思います。特に、16人の声楽メンバーを募る際に、私たちの活動に深くご理解くださり、ご尽力をいただきました、福間章子さん、福田佳珠栄さんには、心から
感謝申しあげます。
 そして、結成当初から多方面でご支援をいただいている鶴川の「アトリエ一番坂」の皆さまや、ジュニアオーケストラ時代の先輩・後輩の皆さま、私たちメンバーの家族、そして今日お忙しいなか私たちのステージを聴きにお運びいただきました皆さまに、この場をお借りしてお礼を申しあげます。ありがとうございました。


2018年8月19日
あしたのクァルテット
青山秀太郎 江部和幸 舘岡吾弥 上間大輔
(写真は1998年、結成当時のもの)